サークル理念

■設立動機

私は元々、当会の設立以前から現在に至るまでバドミントンサークルの運営を行っていて、ピアノは趣味で習っている程度でした。

人前で弾く機会が欲しいと思い、初めてピアノサークルに参加して、刺激を受けるとともに、今までの自分にとってのサークルの中でのスタイルに合わないものがありました。

多くのスポーツ系のサークルの場合、活動は週1回程度で、活動の中には試合練習の前に

・自分のパフォーマンスを上げる

・怪我を予防する

と言った目的のため、必ず準備運動や基礎打ちやフットワークを行ない、且つ、ほどんどの時間、自分が主体的に参加するというものでした。

 


一方、ピアノサークルの場合、サークルの活動時間が月に1回程度で、その1回も3時間程度の参加時間のうち10分程度しか弾けないというサークルがほとんどでした。

もちろん、この短時間で自分のパフォーマンスを出し切る瞬発力こそ音楽に求められるという考えもありますが、趣味でピアノを楽しむ程度の場合は、普段の練習通り

1.ポリフォニックな曲

2.メカニックな曲

3.音楽性がより要求される曲

という順番(もちろん順序や組み合わせは人それぞれですが)で弾いて、無理なく演奏できればと考えました。



◾️当会の特徴
通常のピアノサークル で行われているような本番を意識した練習会(発表会のように仕上げてから止まることなく決められた時間内に弾く練習会)ももちろん必要です。

それに併せて、練習会の中で曲を仕上げていくようなサークルがあってもいいと考え、当会は曲の完成度によらずに気軽に参加できるようにしています。

演奏経験が少ない初心者や、ブランクがある方でも楽しめるようにしたいと思っています!

また、当会の設立当初は名前からも分かるように、港区のピアノ教室や企業が中心となって港区の公共施設を通常よりも安く利用しているわけですが、現在は様々な地域から参加されています。


当会の練習会では、苦手な部分をピンポイントで練習する人、ほぼ初見の曲をその場で練習する人、指定速度の半分以下でじっくりさらう人、片手ずつ練習する人など様々ですので、普段あまり練習ができていない人でも気軽に参加できます。

また、レパートリーが1曲しかない方も、

1回目 自由に弾く

2回目 友人に気になるところを指摘してもらいながらじっくり弾く

3回目 本番を意識して周りの人に静かにしてもらって弾く

 

1回目 曲全体のダイナミクスやアナリーゼの見直しをする

2回目 指の都合で弾くのではなく、自分の音を聴くのに集中する

3回目 音と感情が連動するように弾く

・・・ などと非常に有意義な時間が過ごせるかと思います。

当会は、公共施設を利用する場合、参加費に対しての演奏時間が非常に長く、少人数での練習会でも参加費を抑えられます。



◼️なぜピアノを弾くのか

「純粋に音楽を楽しみたい」

「音楽性を高めたい」

「音楽を通じて心を豊かにしたい」

「ストレスを発散したい 」

…等、理由は人それぞれで、確実な答えは無いと思います。

確実なのは、1人で弾くだけでは、ピアノを弾く目的が見えなくなると言うことです。

「レッスンを受けるため」

「自分の演奏を聴いてくれる人のため」

などの目的で練習している人は、自己満足のために黙々と練習している人と比べると遙かにモチベーションが高いわけですが、ピアノサークルの場合は音楽を通じた仲間との交流というのも動機付けの一つになるかと思います。



■なぜ集まってピアノを弾くのか

ピアノはミニチュアオーケストラに例えられるように、ピアノ1台あれば完結できる音楽が非常に多く、実際、当会で演奏される曲も90%程度がピアノソロの曲です。よって、合唱やオーケストラと違い、曲を奏でるだけでしたら1人で自宅あるいはスタジオやホールを借りて練習するので十分です。

また、1人で黙々と練習した方が精密さは高まりますし、レッスンを受けて指摘された箇所を直せばより望ましい演奏を身につけることができます。

しかし、ピアノの上達には上記に加え、「聴衆」と「時間芸術性」が必要と考えます。

まず、「聴衆」がいることで音楽を届ける相手を意識することになり、また、音楽の言語としての側面を垣間見ることができます。一方、1人で練習するときは、単なる楽譜のトレース、或いは、自己満足に終わってしまいます。


聴衆を意識して練習を行うことで、本番で実力を出し切る能力を高めたり、自分の演奏を客観視する能力を高めたりする効果があると考えます。

自分のパフォーマンスが発揮できず、人の前で弾くのが苦手・苦痛という人も、当サークルで経験値を積むことにより、いずれ人前で演奏するのが心地いいと感じられるようになるかと思います。

また、音楽は時間の芸術と言われているように、「時間芸術性」を意識するには、非日常的な空間が必要と考えます。当会では、音楽を専門とする方は少なく、自宅の練習では時間の矢(時間の一方向性)を意識して演奏するのが難しい方もいます。一方、練習会では、非日常的空間による緊張感と集中力により、時間に沿って前へ前へと音楽を紡いでいく推進力を比較的容易に得ることができます。


人前で弾くことはその他多くのメリットがあり、当会の練習会に参加して演奏することで、今までは得られなかった何かしらの「気づき」を得られるかと思います。

 

ピアノ愛好家のために音楽を奏でるための最適な環境と時間を提供するのがピアノサークルの役割ではないかと考えます。 



◾️練習と本番
ピアノ愛好家は発表会やコンクールといったいわゆる本番でより良い演奏することを目標としますが、そのためには曲の演奏時間の何万倍以上もの練習時間が必要です(もちろん曲の難易度による違いや個人差はありますが)。
一方、東京都内では非常に多くのピアノサークルがありますが、そこで開かれる練習会では、練習するというよりは、短い演奏時間に対してそれなりに高い参加費を払って本番のように自分の実力を出し切らなければならないという練習会がほとんどです。
しかし、そのようなタイプのサークルだと、ピアノ愛好家にとっては参加し辛いことが多いです。というのも、本番として弾ける時期よりも、練習中の時期の方が圧倒的に長いわけなので、たとえ予定が合ったとしても、曲の完成度的に参加できないということが多くなると思います。また、参加費が割高になるのも練習段階だと足が遠のく理由の一つです。



■当会の将来像

私が参加したことのあるピアノサークルはメンバー同士が親密になるのには非常に時間がかかり、練習会後の飲み会などに出席しなければお互いのことよく理解できないというところが多かったかと思います。

当会では、LINEグループでメンバー間の距離を縮め、連絡や活動報告を活発に行うことで、より親密になりやすい環境を作って行きたいと思います。また、練習会の頻度も高いため、互いの演奏を通じて音楽の方向性やその中に垣間見える人間性も分かるという、ただ飲み会を開くだけのサークルでは味わえない、ピアノサークルならではの特長をより強く持てるようにしていきたいと思います。

 


設立当初は、同じピアノ教室や会社の人達で活動していましたが、今は様々な方が参加されます。当初は内輪だけでの緩い雰囲気のサークルでしたが、時には本番を意識した演奏をしたり、ほかの方の演奏を静かに聴く会を設けたり、たまには贅沢にお寿司を食べながらの練習会を開いたりと、メンバーのニーズに合わせてバリエーション豊かな会となっております。

 

今後、さらにメンバーが多様化していくかと思いますが、コンクールのためのリハーサル、ピアノの練習のモチベーションの維持、ピアノを通じた交友関係の拡大など目的を問わず、相互の利益・個々の音楽性の向上をサポートできるサークルを目指します。 



■港区とピアノ

港区ではピアノを気軽に演奏できる環境があまり整っていないと思います。自宅で演奏するには高額な防音室を設けるか、ヘッドホンをしてサイレント、又は電子ピアノで練習することになり、スタジオも狭くて高額なところが多いです。

そういった環境では、ピアノの練習のモチベーションを保つことが非常に困難であり、そんな方のために、非営利組織として貢献してあげられればと思っております。